私小説〜桜を見上げるタンポポ

11 :大人の名無しさん:04/05/12 12:58 ID:yW8e2C/a
  ∧_∧   
 ( ´∀`)< ぬるぽ

12 :アナバナナ ◆IhdpBaNANA :04/05/12 12:59 ID:69+TkEwY
コソーリ盗み聞きしていた男は父親の関西弁に萎えて立ち去った。

13 :大人の名無しさん:04/05/12 19:14 ID:sH1dGCzI
話の展開が、売られてる小説なみに遅々として、
こんなトコロで発表する創作向きのペースじゃないんだが・・・

誰に何と言われようと、そういうボリュームのモノを書こうというのなら、
それはそれで凄いんだが、
そういうので最後まで書いた奴、あたしゃ見たコトがねー。

ま、頑張ってよ>賢治
途中で辞めたらエロ小説にしちゃうぞ?(w

14 :賢治:04/05/13 07:45 ID:h/4JDMRk
「子供を手放す考えはないですね・・」
あたかも熟慮した言葉を口にするかのように・・
穏やかな口調ではっきりと伝えた。
だがその態度と裏腹に、胸中は漠然としていた。
子供と引き離される可能性に、引きちぎられそうな想いを
感じたわけではない。
あえて言うなら、あの場面ではそう答えるべきだと考えたのだ。
それは保身の為であったのかもしれない。
しかしその状況においても「親」として本能に目覚めきれない
自分には、正直に幻滅していた。

15 :賢治:04/05/13 08:14 ID:h/4JDMRk
朝、目覚めるとまず洗濯機をまわしながら朝食の準備をする。
小学生組をまさに「叩き」起こして登校の用意をさせながら
洗濯物を干す。
小学生組が出払う直前に保育園組に朝食をとらせつつ、登園の
準備をするのだが・・。
お着替えをひと組下着をひと組、スプ−ンにフォ−ク、お箸
とお椀にコップ、ハンカチとティッシュ・・・
ノ−トには昨晩の就寝時間、今朝の起床時間、朝食の内容、
排便の有無を記入するのだ。
細かい愚痴を言えば、着替えと下着を各々上下たたむだけで
四人分で毎朝16枚なのだ。
一歳の末娘を背負い、三女の手を引きながら次女と四男坊を
走らせて保育園へ届けるやいなや仕事場へ向かう。

とにもかくにも我が子八人との「父子家庭」生活が始まった。


16 :賢治:04/05/13 13:44 ID:gKazDDC2
「離婚届取りに行く時間ある?ちょっと忙しくなってん」
と電話が来たのはまだ生活に不慣れだった六月の半ば・・
「いいよ、じゃあ俺が取りに行って先に記入しとくよ」
「そう、ゴメンね頼むわぁ」

世代が違うのか個人の認識なのか「戸籍を汚す」事に
さほどの抵抗もなかった。
戸籍窓口に行くと丁度幸せそうなカップルが婚姻届をとりに
来ていた。
「すいません、婚姻届を頂きたいんですけども」
その一声を発する役目を担ったのは女性の方だった。
「おめでとうございます、少々お待ち下さい」
と、女性職員が応対した。
「なるほど婚姻届を希望する市民には
         あの様な対応マニュアルがあるんだな・・」
そう思うと俄然自分への対応に期待が高まった。
「離婚届を希望した場合にどんな対応が・・・」
まさか「それは残念でしたね、少々・・」はあるまい。

17 :賢治:04/05/13 14:03 ID:gKazDDC2
「すいません、離婚届を下さい」
そう、先ほど幸せそうなカップルにこやかに応対した
職員に申し出た。
「はい、少々お待ち下さい」
真顔ですっと立ち上がり書類を差し出すと
「記入方法はこちらに書いてありますので」
とサンプルのコピ−を一枚を重ねた。
その素っ気無さに悪戯心がおこり(悪い癖なのだが)
「あの、申し訳ありませんがもう一枚頂けませんか」
と言うと
「はぁ・・」
と言うので
「実はまだ、修羅場が済んでないもんですから
        もしかしたら破られるかもしれませんので」
「そうですか、じゃあもう一枚お持ちください」

どこまでも真顔で応対する女性職員であった。


18 :賢治:04/05/13 14:55 ID:gKazDDC2
離婚届作成に伴い謄本をとり寄せてみると、奇しくも
入籍の事実も六月中旬と記載されていた。
披露宴は三月に執り行い、と同時に結婚生活を始めた。
無論記念日も同様であったがその際に妻の母親から
「入籍の判断は私にまかせやね、結婚はしたわすぐに
         別れたわじゃあ、戸籍が汚れるだけやからね」
そう言われた事を思いだした。
思えば最初から「添い遂げる」可能性に擬ありとする 
この人の下、始まった結婚生活であった。

19 :賢治:04/05/13 15:11 ID:gKazDDC2
「あんたはこんなもんばっかり食べて育ったやろぉ」
台所に立っていると突如訪問した妻の母親は
「お母さんも食べますか」
そう言って差し出したお椀の中を覗いてそう言った。
ひっつみ(すいとん)は子供の頃私の好物であったと同時に、
それを食する事は今や故郷を思う一つの術でもあった。
「おばあちゃんも食べなよ、おいしいよ」
そういう孫の声に
「いらへんいらへん・・おばあちゃんな、そんなん
                  よう食べへんねん」 
そう顔をしかめて言った。
「あんたは育ちが悪いから」
「家の格が違う」
「あんたは品がないから」
どれだけこの人に言われた事だろう。

20 :賢治:04/05/13 17:18 ID:gKazDDC2
通代の母親の話は枚挙にいとまがない。
そういう意味では、通代との結婚生活においても同様である。
また、そのひとつひとつを列挙する事はその労もさる事ながら
その労を上まわる不愉快な想いがある為省略をする。

離婚も成立し制度上は全くの他人であるが、元より彼女の
一人相撲で展開した成り行きであるのだ。
通代が家を出て三ヶ月余りが過ぎた頃・・・
修羅場を演じて離婚した理由でもなく憎くもない元妻の、
通代の住まいを訪ねてみる事にした。
そこには・・・
それまでは離婚に際してさほど「我が身を削る」想いも
しなかった私に、あまりに厳しい現実が待っていた。


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